
小野小町は平安時代の歌人で多くの和歌を残しました。次の七首は「小町まつり」において七人の小町娘が朗詠し、奉納する和歌です。
(この七首は昭和57年小町まつり和歌選定委員会で選定されました。)
1:花の色は移りにけりないたずらに、わが身世にふるながめせしまに
和歌訳:花の色も私の美しさも、もはや消え失せてしまったのだ、思えばむなしくもわが身はすっかり老い衰えた。
2:いとせめて恋しき時はむば玉の、夜の衣を返してぞ着る
和歌訳:恋しさが、私をせめつけてどうにもならない時、私は夜の衣を裏返しに着て寝るのです。
3:思ひつつ寝ればや人の見えつらむ、夢と知りせば覚めざらましを
和歌訳:あの人を心の中で思いながら寝たので、夢にふと見えたのだろうよ、それが夢と知ったならば、私は目をさますのではなかっただろうに。
4:ちはやぶる神もみばさば立ち騒ぎ、天の戸川の樋口をあけたまえ
和歌訳:神もこの地上の日照りをご覧になったならば、立ち騒いで、天の川の樋口をお開けください。
5:わびぬれば身を浮き草の根をたえて、さそふ水あらばいなむとぞ思ふ
和歌訳:こんなにおちぶれて我が身が嫌になったのですから、根無しの浮き草のように誘いの水さえあればどこにでも流れてお供しようと思います。
6:色も香もなつかしきかな蛙なく、井出のわたりの山吹の花
和歌訳:花の色も香も昔ながらで慕わしく思われることだ。蛙の鳴く声が、きこえるあたりのやまぶきの花。
7:面影のかわらで年のつもれかし、たとひ命にかぎりありとも
和歌訳:人の心に現れる私の面影は美しいままずっと変わらないで年月がたってくれ、たとへ命にかぎりはあっても。